AIをもっと身近に、手軽に。楽天テクノロジーカンファレンス2025が示す「AI-nization」の未来

2025年、私たちの生活やビジネスの基盤を揺るがす大きな技術的転換期が訪れています。その最前線とも言えるイベント「Rakuten Technology Conference 2025」が開催されました。今回のカンファレンスのテーマは「AI-nization with you」。AIがより身近になり、誰もが手軽にその恩恵を享受できる時代の幕開けを予感させる内容となりました。

AIは専門家の道具から誰もが使えるパートナーへ
イベントの冒頭で強調されたのは、AI活用のハードルが劇的に下がっているという現状です。かつては高度なプログラミングスキルやデザインセンスが必要だった領域も、今やAIの助けを借りることで、誰でもコードを書き、クリエイティブなデザインを生み出せるようになっています。楽天グループの三木谷氏は、自身の美術の成績を例に挙げながら「AIのおかげで、今では非常に優れたデザインができるようになった」と語り、会場の笑いを誘いつつも、AIが個人の能力を拡張する強力なツールであることを示しました。

楽天が進める「AIエージェント」の全社展開
楽天グループでは、AIを単なる効率化ツールとしてではなく、自律的に動く「エージェント」として活用する動きを加速させています。
AIエージェント・フェスティバルの開催: グループ内70以上のビジネスユニットに対し、それぞれ独自のエージェントを構築することを推奨しています。
Chief AI Officerの設置: 各ユニットにAI責任者を配置し、現場主導でのAI活用を推進する体制を整えています。
独自のデータ基盤: 楽天が持つ国内70以上のサービスから得られる購買データ、オフライン決済データ、検索ログ、位置データなどを組み合わせ、独自のLLM(大規模言語モデル)と外部モデルを融合させた高度なAI体験を目指しています。

AIの次なるフロンティア:マルチエージェントと物理AI
技術的な展望として語られたのは、複数のAIエージェントが連携して動くマルチエージェントシステムです。マスターエージェントが異なるエージェントを調整し、複雑なタスクをこなす未来が描かれました。また、ロボティクスなどの物理AIについても言及がありました。物理環境のデータ量はまだ不足しているものの、今後の発展が期待される重要な領域として注目されています。

楽しみながら学ぶ:カンファレンスは技術者だけのものではありませんでした。会場には家族で楽しめるエリアも用意され、次世代を担う子供たちがAIに触れる機会が提供されました。
AIフォトブース:生成AIを活用し、撮影した写真を5種類の異なる芸術的フィルターで加工。背景や服装までをもトランスフォームさせる体験に、多くの来場者が驚きを見せていました。
遊び場とクリエイティビティ: 壁に絵を描けるスペースやロボットクラブなど、子供たちが自身の創造性を発揮できる工夫が随所に見られました。
来場者からは、「AIがこれほどまでに身近で楽しいものだとは思わなかった」「新しいテクノロジーに触れる良い機会になった」といった声が多く聞かれました。

信頼と安全を守る3つの柱
AIの普及において避けて通れないのがセキュリティの問題です。本イベントでは、AIの安全性を確保するための3つの柱についても議論されました。
Discover(発見): 組織内のAI活用状況やデータを把握する。
Validate(検証): リスクや脆弱性、信頼性をテストする。
Protect(保護): 適切なガードレールを設置し、ポリシーを遵守させる。

AIと共に歩む未来
「AIを使えなければ生き残るのが難しくなる」という言葉には、これからの時代を生きる私たちへの強いメッセージが込められています。しかし、それは決して脅威ではなく、私たちの可能性を広げる大きなチャンスでもあります。国内外の拠点から集まった150名以上のスタッフによって支えられた今回のカンファレンスは、AIが「手軽に活用できる時代」へと完全に移行したことを強く印象づけました。AIと共に、私たちの未来をどうデザインしていくか。その答えは、すでに私たちの手の中にありそうです。

私見と考察:AI-nizationがもたらす社会の民主化と、楽天の勝ち筋

今回のカンファレンスを取材・分析して強く感じたのは、楽天が提唱するAI-nizationとは、一部の技術者のための進化ではなく、テクノロジーの民主化であるということです。特に注目すべきは、三木谷氏が自らの経験を交えて語った「AIによる個人の能力拡張」です。これまで才能や長年の修練が必要とされてきたクリエイティブやエンジニアリングの領域が、AIというインターフェースを通じて全人類に開放されようとしています。これは、スキルの格差を埋めるだけでなく、誰もが自分のアイデアを形にできる「総クリエイター時代」の到来を意味しています。また、楽天の強みはその圧倒的なデータの厚みにあります。オンラインの購買履歴だけでなく、楽天カードや楽天ペイを通じたオフラインの決済データ、さらには位置情報までを網羅するエコシステムは、他のプラットフォームには真似できないものです。これらの「血の通ったリアルなデータ」がAIエージェントに組み込まれることで、私たちの生活を先回りしてサポートする、真にパーソナライズされた体験が実現するでしょう。一方で、セキュリティに関する「3つの柱」が強調された点も見逃せません。利便性が高まるほど、信頼(Trust)がサービスの根幹となります。技術的な華やかさだけでなく、ガバナンスや安全性を同時に発信した姿勢に、プラットフォーマーとしての強い責任感を感じました。「AIを使えないと生き残れない」という言葉は一見厳しく響きますが、本質的には「AIという翼を手に入れることで、人間はより人間らしい創造的な活動に集中できる」というポジティブなパラダイムシフトへの招待状ではないでしょうか。楽天が描く未来図は、AIを恐れる対象としてではなく、共に成長するパートナーとして迎え入れる、希望に満ちたものでした。

[RNN]Rakuten Technology Conference 2025:AIをもっと手軽に活用する時代へ

https://youtu.be/6bol157i-Zs
動画の説明:「Rakuten Technology Conference 2025」では、AIがビジネスや人々の毎日に溶け込むさまざまな例が紹介されました。楽天グループをはじめ、GoogleやCiscoといった企業のキーパーソンが登壇。マルチエージェント、AIロボット、ディープフェイクなど最先端のトピックをテーマに、AIの可能性と課題について、数千名の参加者と共有しました。会場では「楽天AIフォトブース」が人気を集めました。参加者たちは生成AIを使ってその場で写真を加工して、特別な一枚を持ち帰りました。

Rakuten Technology Conference 2025:AIをもっと手軽に活用する時代へ
https://corp.rakuten.co.jp/innovation/rnn/2025/2511_003/

Rakuten Technology Conference 2025:AIをもっと手軽に活用する時代へ | 楽天グループ株式会社「Rakuten Technology Conference 2025」では、AIがビジネスや人々の毎日に溶け込むさまざまな例が紹介されました。楽天グループをはじめ、GoogleやCiscoといった企業のキーパーソンが登壇。 マルチエージェント、AIロボット、ディープフェイクなど最先端のトピックをテーマに、AIの可能性と課題について、数千名の参加者と共有し…corp.rakuten.co.jp