楽天シンフォニーがバングラデシュ最大手通信事業者と提携!クラウドネイティブなOpen RAN導入へ

楽天シンフォニーがバングラデシュの大手通信事業者グラミンフォン社と、次世代通信ネットワークの構築に向けた覚書を締結しました。

バングラデシュ最大級の通信事業者との協業
グラミンフォン社は、バングラデシュを代表する通信事業者で、契約数は8,600万回線を超えています。人口カバー率は驚異の99%以上という、まさに国民の生活インフラを支える企業です。1997年の創業以来、「社会をエンパワーし、情報格差を最小化する」という使命のもと、国内最大級のモバイル通信ネットワークを構築してきました。北欧やアジアで事業を展開する大手通信会社Telenor Groupの一員でもあり、ダッカ証券取引所とチッタゴン証券取引所に上場している信頼性の高い企業です。

Open RANとは何か?
今回のプロジェクトで注目されるのが「クラウドネイティブなOpen RAN」という技術です。従来の通信ネットワークは、特定のベンダーの専用機器に依存していましたが、Open RANは標準化されたインターフェースを使用することで、複数のベンダーの機器を組み合わせて使えるようにする技術です。これにより、通信事業者はより柔軟で効率的なネットワークを構築でき、コスト削減や迅速なサービス展開が可能になります。さらに「クラウドネイティブ」であることで、仮想化技術を活用し、より柔軟なネットワーク運用が実現できるのです。

楽天モバイルの実績とNEDOプロジェクトの成果
この提携において特筆すべきは、楽天モバイル株式会社の知見です。楽天モバイルは、世界でも先進的に大規模な仮想化Open RANネットワークの商用利用を実現した実績を持っています。さらに、本プロジェクトでは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の成果である「O-RANインテグレーション基盤技術」が適用されます。これは日本の国家プロジェクトとして開発された先進技術であり、楽天モバイルの知見が海外展開に活かされることは、日本の通信技術の優位性を示す重要な事例と言えるでしょう。

グローバルに展開する楽天シンフォニー
楽天シンフォニーは、革新的なモバイルネットワーク技術を用いた通信プラットフォーム事業をグローバルに展開している企業です。日本に本社を置きながら、米国、シンガポール、インド、韓国、欧州、中近東アフリカ地域にも現地拠点を構えています。楽天モバイルが培った世界最先端のネットワーク構築ノウハウを基に、通信事業者向けのプラットフォームを含む次世代ネットワークの計画・構築・運用に必要なすべての機能を提供しています。今回のグラミンフォン社との提携は、そのグローバル展開の重要な一歩となるでしょう。

バングラデシュのデジタル化を加速
バングラデシュは人口約1億7,000万人を擁し、経済成長が著しい国です。グラミンフォン社は、単なる通信サービスの提供にとどまらず、「お客様のDX化に貢献する未来のテクノロジーサービスプロバイダー」として、継続的なイノベーションを推進しています。今回のOpen RAN導入により、同社のネットワークはさらに高度化し、5Gをはじめとする次世代通信サービスの展開が加速されることが期待されます。これは、バングラデシュ全体のデジタルトランスフォーメーションを推進し、経済発展や人々の生活向上に大きく貢献するでしょう。

日本の通信技術が世界標準に
今回の提携は、日本の通信技術が世界標準として認められ、採用されることを意味します。楽天モバイルが独自に開発し、商用化に成功したOpen RAN技術が、海外の大手通信事業者に選ばれたことは、日本の技術力の高さを証明するものです。また、NEDOの研究開発プロジェクトの成果が実際のビジネスに活用されることで、産官学連携の成功事例としても注目されます。研究開発への投資が、具体的な国際競争力の向上につながることを示す好例と言えるでしょう。

まとめ:次世代通信の未来を見据えて
楽天シンフォニーとグラミンフォン社の提携は、両社にとって重要なマイルストーンであるだけでなく、通信業界全体にとっても意義深い出来事です。Open RANという新しい技術標準が、世界中で採用され、より効率的で柔軟な通信ネットワークが構築されていく流れを象徴しています。日本で培われた先進技術が、アジアの新興国であるバングラデシュのデジタル化を支援し、その恩恵が8,600万人以上のユーザーに届けられる。このストーリーは、技術が国境を越えて人々の生活を豊かにする可能性を示してくれます。今後、このプロジェクトがどのように進展し、どのような成果を生み出すのか、引き続き注目していきたいと思います。楽天シンフォニーのグローバル展開と、日本の通信技術の更なる発展に期待しましょう!

グラミンフォン社について
バングラデシュを代表する契約数8,600万回線を超える大手通信事業者で、Telenor Groupの一員です。1997年の創業以来、「社会をエンパワーし、情報格差を最小化する」という使命のもと、国内人口の99%以上をカバーするモバイル通信ネットワークを構築してきました。同社は、通信の力で顧客のDX化に貢献する未来のテクノロジーサービスプロバイダーとして、継続的なイノベーションを推進しており、ダッカ証券取引所およびチッタゴン証券取引所に上場しています。
https://www.grameenphone.com

楽天シンフォニーについて
革新的なモバイルネットワーク技術を用いた通信プラットフォーム事業をグローバルに展開しています。楽天モバイルが世界で先進的に商用利用を実現した大規模な仮想化Open RANネットワーク構築の知見を活かし、通信事業者向けのプラットフォームを含む次世代ネットワークの計画・構築・運用に必要なすべての機能を提供しています。日本に本社を置き、米国、シンガポール、インド、韓国、欧州、中近東アフリカ地域にも現地拠点を置いています。
https://symphony.rakuten.com/jp


楽天シンフォニーとバングラデシュの通信事業者グラミンフォン社、クラウドネイディブなOpen RAN導入に向けた覚書を締結
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2025/0919_01.html

私見と考察:楽天モバイルの技術が、世界に飛躍

このたびの楽天シンフォニーとグラミンフォン社の覚書締結は、両社にとって、世界の通信業界全体にとって、極めて戦略的かつ重要な意味を持つ出来事だと思いました。

楽天シンフォニーにとっての「証明」と「飛躍」
まず、楽天シンフォニーにとって、これは自社の技術とビジネスモデルの正当性を世界に証明する決定的な一歩です。楽天モバイルが日本で世界初の完全仮想化クラウドネイティブなOpen RANネットワークをゼロから構築した経験は、それ自体が革新的でしたが、一方で「グリーンフィールド(新規参入)」特有の事例と見なされる側面もありました。しかし、今回の提携先であるグラミンフォン社は、バングラデシュ最大の、8,600万回線を超える加入者を持つ既存の大手通信事業者です。しかも、北欧の巨大通信グループであるTelenor Groupの一員です。これは、楽天シンフォニーのソリューションが、既存のネットワーク(ブラウンフィールド)への導入や大規模な顧客基盤を持つ環境下でも機能し、かつ大手キャリアグループの厳格な選定基準をクリアできることを示しています。この成功事例は、Telenor Group内の他の事業会社や、コスト効率と柔軟性を求める世界中の既存キャリアへの販売を加速させる、強力な実績となるでしょう。特に、南アジアという巨大な成長市場への足がかりを得たことは、地理的な戦略上も大きな飛躍を意味します。さらに、このプロジェクトには、楽天モバイル自身が参画し、日本の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業で得られた技術成果(O-RANインテグレーション基盤技術)を適用するとされています。これは、日本の技術力がグローバルな通信インフラ輸出に結びつくという、国家戦略的な側面からも極めて価値の高い協業です。

グラミンフォン社の「先見性」と「コスト革命」
一方、グラミンフォン社にとって、このOpen RANの導入は、単なるネットワークのアップグレード以上の、事業の構造改革を意味します。バングラデシュのような急速に加入者とデータ需要が伸びる市場では、設備投資(CapEx)と運用コスト(OpEx)をいかに抑えるかが競争力の鍵となります。従来のネットワークベンダーに依存した垂直統合型のシステムでは、ベンダーロックインが発生し、コスト削減や新機能導入のスピードが制限されます。Open RANは、ネットワーク機器の構成要素を分離し、異なるベンダーの製品を柔軟に組み合わせることを可能にします。これにより、グラミンフォン社はサプライチェーンを多様化し、調達コストを下げ、運用の柔軟性を高めることができます。彼らが目指す「より柔軟で効率的、かつ将来に備えたネットワークインフラ」とは、まさにこのOpen RANがもたらす「コスト革命」と「イノベーションの加速」に他なりません。「当地域におけるテクノロジーリーダーとしての地位を一層強化する」というCTOのコメントは、単に最新技術を採用するだけでなく、この技術的変革を南アジアにおける自社の競争優位性として確立したいという強い意志の表れだと感じられます。

通信業界全体への波及効果
今回の協業は、グローバルな通信業界におけるOpen RANの潮流を確固たるものにする「試金石」となるでしょう。
これまで、多くのキャリアはOpen RANに対して懐疑的、あるいは慎重な姿勢を崩していませんでした。しかし、グラミンフォン社という大規模かつ実績あるキャリアが、主力ベンダーの一人として楽天シンフォニーを選び、4G/5G NSAという実用的なフェーズでクラウドネイティブなOpen RANを導入するという事実は、Open RANがすでに商用利用の成熟期に入っていることを示唆しています。成功裏に技術検証と大規模展開が実現すれば、これは「Open RANが新興国だけでなく、既存の成熟した市場でも通用する」という強力なメッセージとなり、世界中の他のキャリアのOpen RAN導入を後押しする起爆剤になる可能性が高いと考察します。

結論として、この覚書は、楽天シンフォニーのグローバル展開における「ブレイクスルー」であると同時に、グラミンフォン社がデジタルトランスフォーメーションとテクノロジーリーダーシップを追求するための「賢明な選択」であり、両社の利害が完璧に一致した、深く戦略的な提携であると思います。今後の技術検証と展開の進捗は、世界の通信インフラの未来を占う上で、極めて注目に値すると思いました。