
楽天モバイルとはなホールディングスが描く保育の未来。AIとIoTで実現する次世代型ICT保育園
保育業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めた、とても興味深い取り組みについてご紹介します。楽天モバイル株式会社と株式会社はなホールディングスが、最先端のICT・AI技術を活用した「次世代型ICT保育園」の推進に向けて協力することを発表しました。
保育業界が直面する深刻な課題
まず、現在の保育業界がどのような状況にあるのか、お話ししたいと思います。近年、保育の現場では様々な課題が山積しています。特に深刻なのが人材不足です。保育士さんの数が足りず、現場で働く方々の負担が年々増加しているのです。
さらに、行政への報告書類や保護者への連絡文書など、事務作業の量も増え続けています。本来であれば子どもたちと向き合い、一人ひとりの成長を見守ることに時間を使いたい保育士さんたちが、書類作成に追われてしまう。これは保育の質にも影響を与えかねない、本当に切実な問題なのです。
また、保育業界ではDXやICT導入の遅れも指摘されています。他の業界では当たり前になっているデジタル技術の活用が、保育の現場ではまだまだ進んでいないのが現状です。
楽天モバイルとはなホールディングスの革新的な取り組み
こうした課題を解決するために、楽天モバイルとはなホールディングスが手を組みました。楽天モバイルは通信インフラを基盤としたソリューションサービスで保育園のDX推進をサポートし、はなホールディングスはそれを活用して業界全体のモデルケースとなる保育園を創出します。
この取り組みの具体的な成果として、2025年11月1日に「はな保育室こまきはら(仮称)」が開設される予定です。この保育園では、楽天モバイルの法人向けDXパッケージを活用し、これまでにない新しい保育の形が実現されます。
次世代型ICT保育園の三つの柱
では、具体的にどのような技術が導入され、どのように保育現場が変わっていくのでしょうか。主に三つの大きな柱があります。
AIやIoTによる見守り体制の強化
まず注目したいのが、AI搭載のクラウドカメラ「Safie One」の導入です。このカメラは単に映像を記録するだけではありません。AIが常時園内をモニタリングし、何か異常を検知した際には自動でアラートを発してくれるのです。例えば、子どもが転倒したり、危険な場所に近づいたりした場合、すぐに保育士さんに通知が届きます。これにより、保育士さんは常に目を光らせている必要がなくなり、より余裕を持って子どもたちと接することができます。同時に、園児の安全性は大きく向上し、保護者の方々も安心してお子さんを預けられるようになります。
デジタルリテラシーの向上
次に重要なのが、保育現場でのデジタル技術の活用を促進する基盤づくりです。高速で安定した通信環境を提供する「KOSOKU Access(高速アクセス)」により、園内の様々なICT機器がスムーズに連携できるようになります。これによって、日々の保育記録をデジタルで管理したり、保護者への連絡をアプリで行ったりすることが容易になります。手書きの連絡帳や紙の書類に追われることなく、効率的に業務を進められるのです。保育士さんたちがテクノロジーを自然に使いこなせる環境が整うことで、事務作業の負担が軽減され、その分、子どもたち一人ひとりとじっくり向き合う時間が増えます。これこそが、保育の質の向上に直結するのです。
業務の効率化と自動化
三つ目の柱が、AIを活用した空間管理システム「Rakuten NEO」による業務効率化です。このシステムでは、QRコードを使った入退室管理が可能になります。保護者の方が送り迎えの際にQRコードをかざすだけで、誰がいつ登園・降園したかが自動的に記録されるのです。さらに注目したいのが、センサーを利用した自動空調・照明制御です。室温や明るさを常に最適な状態に保つために、これまでは保育士さんが頻繁に調整する必要がありました。しかし、このシステムを導入することで、環境管理が自動化され、煩雑な作業から解放されます。また、AI通訳機「ポケトーク」の活用も興味深いポイントです。外国人保育士さんとのコミュニケーションや、外国籍の保護者への対応がスムーズになります。多様性が求められる現代社会において、言葉の壁を越えてすべての人が安心できる環境づくりは非常に重要です。
この取り組みがもたらす未来
この「次世代型ICT保育園」の取り組みは、単に一つの保育園を便利にするだけではありません。業界全体のモデルケースとなることで、日本中の保育園にDXの波を広げていく可能性を秘めています。
保育士さんたちの働き方が改善されれば、より多くの方が保育士として働き続けたいと思えるようになるかもしれません。それは人材不足の解消にもつながります。また、テクノロジーの力で安全性が高まり、保育の質が向上すれば、子どもたちにとっても保護者の方々にとっても、より良い環境が提供されることになります。
AIやIoTと聞くと、「子どもの保育に機械が介入するのはどうなのか」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この取り組みの本質は、テクノロジーに保育を任せることではありません。むしろ、テクノロジーが事務作業や環境管理などの負担を引き受けることで、保育士さんが本来の仕事である「子どもと向き合うこと」に集中できるようにすることなのです。
まとめ
楽天モバイルとはなホールディングスによる「次世代型ICT保育園」の推進は、保育業界の未来を大きく変える可能性を秘めた取り組みです。AIによる見守り、デジタルリテラシーの向上、業務の効率化・自動化という三つの柱を通じて、保育現場の課題を解決し、子どもたちと保育士さんの双方が安心して過ごせる環境をつくろうとしています。
2025年11月に開設予定の「はな保育室こまきはら(仮称)」が、どのような保育の形を実現するのか、今から楽しみです。この取り組みが成功し、全国の保育園に広がっていくことで、日本の保育がより良いものになっていくことを期待したいと思います。
テクノロジーと人の温かさが融合した、新しい時代の保育。その実現に向けて、楽天モバイルとはなホールディングスの挑戦が始まっています。

「次世代型ICT保育園」に対する私見と考察
この楽天モバイルとはなホールディングスによる取り組みについて、いくつかの視点から私なりの考察を述べさせていただきます。
テクノロジー導入の本質的な意味
まず最初に考えたいのは、保育現場へのテクノロジー導入が持つ本質的な意味です。この取り組みで特に評価できるのは、「テクノロジーのための導入」ではなく、「保育士が子どもと向き合う時間を増やすための導入」という明確な目的が設定されている点です。
しかし、ここで一つの懸念も浮かび上がります。AIカメラによる見守りシステムは確かに安全性を高めますが、保育士と子どもの「直接的な関わり」の価値を過小評価してしまう危険性はないでしょうか。子どもは大人の目線、表情、声のトーンから多くを学びます。AIが異常を検知してくれるからといって、保育士の観察力や直感を軽視してしまっては本末転倒です。
理想的には、テクノロジーが「補完」として機能し、保育士の専門性がより発揮される環境をつくることが重要だと考えます。
DX推進における「段階的導入」の重要性
保育業界のDX推進において見落とされがちなのが、「現場の受容性」という問題です。急激なデジタル化は、かえって現場の混乱を招く可能性があります。
特に懸念されるのは、デジタルツールに不慣れな世代の保育士さんたちです。「KOSOKU Access」による高速通信環境の整備は素晴らしいインフラですが、それを活用するための研修やサポート体制がどの程度整備されるのでしょうか。
おそらく、この取り組みが成功するかどうかは、「技術の先進性」よりも「現場への寄り添い方」にかかっていると思います。段階的な導入、丁寧な研修、そして何よりも「使いやすさ」を重視したシステム設計が不可欠です。
プライバシーとセキュリティの課題
AI搭載クラウドカメラ「Safie One」の導入について、もう一つ深く考察したい点があります。それはプライバシーとセキュリティの問題です。
園内を常時モニタリングするシステムは、確かに安全性を高めます。しかし同時に、子どもたちや保育士の行動が常に記録され、データとして蓄積されることになります。このデータはどのように管理され、誰がアクセスでき、どのような用途で使われるのでしょうか。
保護者への情報開示の範囲、データの保存期間、第三者への提供の有無など、明確なガイドラインが必要です。特に、AIによる「異常検知」の基準が不透明だと、過度な監視社会につながる恐れもあります。
技術的な安全性だけでなく、倫理的な安全性についても十分な配慮が求められます。
多様性への対応という新たな可能性
AI通訳機「ポケトーク」の活用は、個人的に非常に可能性を感じる取り組みです。これは単なる言語の壁の解消にとどまらず、保育現場の多様性を促進する重要なツールになり得ます。
外国人保育士の採用がスムーズになれば、人材不足の解消だけでなく、子どもたちが自然に異文化に触れる機会も増えます。グローバル化が進む現代において、幼少期から多様性を肌で感じる経験は、子どもたちの成長にとって大きな財産になるでしょう。
また、外国籍の保護者とのコミュニケーションが円滑になることで、これまで言葉の壁によって孤立しがちだった家庭も、安心して保育園を利用できるようになります。これは社会的包摂という観点からも非常に意義深いことです。
コスト面での持続可能性
この取り組みで気になるのが、導入コストと維持費用の問題です。最先端のICT・AI技術を導入するには相当な初期投資が必要でしょうし、システムの保守管理にも継続的なコストがかかります。
「はな保育室こまきはら(仮称)」は、おそらくモデルケースとして手厚いサポートを受けられるでしょう。しかし、この取り組みを全国の保育園に展開する際、特に小規模な園や地方の園にとって、このコストは大きな障壁になるのではないでしょうか。
真の意味でのDX推進には、経済的な持続可能性も考慮する必要があります。補助金制度の整備や、段階的に導入できるパッケージの提供など、普及のための仕組みづくりが重要です。
「人の温かみ」と「効率化」のバランス
保育という営みの本質は、人と人との温かい関わりにあります。どれだけテクノロジーが進化しても、子どもが求めているのは保育士さんの笑顔であり、抱きしめられる温もりであり、一緒に遊んでくれる存在です。
この取り組みが目指す「業務の効率化」は、決してその本質を損なうものであってはなりません。むしろ、事務作業から解放された保育士さんが、より豊かな感情表現と創造性を持って子どもたちと関われるようになることが理想です。
例えば、自動化された入退室管理によって生まれた時間を、一人ひとりの子どもとの会話の時間に充てる。AIカメラによる安全確保の上で、より大胆な外遊びや探索活動を実施する。そうした「人間らしさの強化」にこそ、テクノロジーの価値があるのではないでしょうか。
保育士の専門性の再定義
この取り組みによって、保育士の役割や専門性が再定義される可能性があります。事務作業や環境管理がテクノロジーに委ねられることで、保育士には「子どもの発達を見極める専門家」「創造的な遊びをデザインする専門家」としての側面がより強く求められるようになるでしょう。
これは保育士という職業の価値を高める機会でもあります。単なる「子守」ではなく、高度な専門知識と技能を持つプロフェッショナルとしての地位確立につながる可能性があります。
ただし、そのためには保育士養成カリキュラムの見直しや、現場での継続的な研修体制の整備も必要です。テクノロジー導入と並行して、人材育成の仕組みも進化させていく必要があります。
社会全体への波及効果
最後に、この取り組みが保育業界を超えて社会全体にもたらす可能性について考えたいと思います。
保育園でのDXが成功すれば、介護施設や教育現場など、他の対人サービス分野にも同様のモデルが展開できるかもしれません。「人と向き合う仕事」と「テクノロジー活用」の両立は、多くの業界が抱える共通の課題だからです。
また、保育環境の改善は、働く親世代の安心感につながり、ひいては少子化対策や女性の社会進出支援にも貢献する可能性があります。「子どもを安心して預けられる環境」は、社会全体の活力を支える基盤なのです。
楽天モバイルとはなホールディングスによる「次世代型ICT保育園」の取り組みは、保育業界に新しい風を吹き込む挑戦だと思います。しかし、その成功は技術の先進性だけでは測れません。
本当に大切なのは、この取り組みが「子どもたちの笑顔を増やすか」「保育士さんの働きがいを高めるか」「保護者の安心感につながるか」という、人間中心の視点です。
テクノロジーは手段であって、目的ではありません。2025年11月に開設される「はな保育室こまきはら(仮称)」が、そのことを体現する場所になることを期待しています。そして、そこで得られた知見が、日本全国の保育現場に良い形で広がっていくことを願っています。
テクノロジーと人の温かさが本当の意味で調和した時、保育の未来は大きく開けるのではないでしょうか。
楽天モバイルとはなホールディングス、AIやIoT技術を活用した「次世代型ICT保育園」を推進
– 保育業界のDXを支援し、保育現場の課題を解決 –
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