
天下布武、電波あり。織田信長、楽天モバイルと契約するの巻(第3回/全10回)
第三章 ショップ大騒動、光秀ついにキレかける
余は現地を見たいと言い張り、楽天モバイルショップへ向かうことにした。
もちろん愛馬の黒雲号にまたがってである。パカランパカラン!
「いやっほーい!第六天魔王のお通りだーい!」
町民どもを蹴散らし蹴散らし一直線じゃ!
「信長様、ショッピングモールだと、前回も空気清浄機を3台買って帰ったではありませんか」
「店員の説明がうまかった」
「今回も同じことになります」
「是非に及ばず」
モールに着く。守衛が飛んでくる。子どもが泣く。フードコートのおばちゃんが笑う。余は胸を張って言った。
「第六天魔王信長だー!楽天モバイルに参ったぞーい!」
「お客様、馬は困ります!」
結局、馬は残念ながら外につながれた。黒雲号は不満げに鼻を鳴らしていた。だが最も不満げだったのは光秀である。すでに顔に「帰りたい」と書いてある。
店内へ入ると、店員が引きつった笑顔を浮かべた。
「第六天魔王信長だーい!」
「はい、第六天魔王信長様ですね」
「店員、順応が早いな」
「接客業ですので」
「うむ、いくつか聞きたい。馬上でも快適か」
「危険ですので推奨しておりません」
「炎の中でも通話は可能か」
「炎」
「城が燃えることもある」
店員が固まったので、光秀が横から
「比喩でございます」
とフォローした。助かる。だがなぜか語尾が死んでいた。余はさらに畳み掛ける。
「専用アプリなら、家臣を3時間叱責しても追加料金なしなのだな」
「はい」
「聞いたか、光秀」
「聞きたくもございませぬ」
「何だその返事は」
「いえ、失礼」
「店員よ、このMNPとは何の略だ? 皆、信長、パートナーか?」
「いえ、マイナンバーポータビリティです」
店員が震える声で答えた。近くにいた勝家が小声でつぶやく。
「無念、信長、パニックの略だと思ってました」
「勝家、あとで電波の届かぬ地下牢へ来い」
余が店員の説明を遮って
「最強プランとは、どの程度最強なのだ?信長くらいか?」
と言ったところで、光秀がぽつりと言った。
「信長様」
「何だ」
「少々、お静かになさっていただけますか。店内でございますので」
「なに?余がうるさいと申すか」
「はい、かなり」
店内が静まり返った。蘭丸が口元を押さえる。藤吉郎が「うわあ」という顔をする。勝家はサンプル端末のカメラで自撮りする。何をしておる。余は目を細めた。
「光秀、申したな?」
「長年の蓄積がございますので。では率直に申し上げます。信長様は近ごろ、携帯電話に浮かれすぎておられます」
「なにぃ!?」
「朝から晩まで電話、用がなくても電話、深夜に、ふと思ったのだが、で電話」
「それは大事なことだ」
「こちらは眠いのです!」
「家臣が眠いとは何だ!」
「人間ですので!」
「余も人間だ!」
「信長様は少し魔王寄りです!」
店内の空気が凍った。そして一拍おいて、勝家がぽつりと
「たしかに第六天魔王とか言うておったのう」
と言った。余は一瞬むっとした。だが、光秀の顔を見ると、怒りより先に妙なものを感じた。この男、本気で疲れておる。目の下にうっすら隈まである。そういえば昨夜も深夜2時に電話した。内容は「楽天ポイントで火縄銃は買えるか」であった。我ながらどうでもよい。結局、その日は申しこみをせずに撤退した。光秀が一番ほっとしていた。


光秀です。いやはや。この時ばかりは心底頭に来ました・・・。信長様のように、困った時や迷った時は楽天モバイルショップに行くのがオススメです。ショップのスタッフが丁寧に教えてくれます。信長様のように鎧と馬の完全武装で乗りこまないように注意してください。
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