天下布武、電波あり。織田信長、楽天モバイルと契約するの巻(第4回/全10回)

第四章 赤備えの兵が呪詛を唱える

ショップから撤退した翌日、余は気分を変えようと愛馬の黒雲号で安土近くの山を流していた。パカランパカラン。のんびりと。ふと、山の中腹に奇妙な2人組を見つけた。鮮やかな、血のように赤い上着。2人とも同じ色だ。突然、お供の蘭丸が馬上で身を乗り出した。
「赤備えの兵が2名!真田の生き残りか、はたまた井伊の回し者か!」
「何ぃ!忍びか!いや、忍びにしては派手すぎる!あんなに赤くては森の中でも浮きまくりであろうが!」
「しかし信長様、頭上で奇怪な羽虫を飛ばしております!ブーンと!あれはもしや、武田の新たな暗器、空飛ぶ手裏剣やもしれませぬ!」
「ええい、孔明の罠か!盾を構えい!」
そこへ後から追いついてきた光秀が、呆れたようにため息をついた。
「信長様、蘭丸殿。落ち着いてください。あれは忍びでも赤備えでもありません。あの衣装の色はクリムゾンレッド。おそらく楽天モバイルの基地局メンテナンスです」
「らくてん? このまえのショッピングモールの商人たちか」
「通信事業者です。そしてあの羽虫はドローン。空から鉄塔の設備を点検する機械です。武田は関係ありません」
「な、なんだ、からくりか」
余は目を凝らした。なるほど。やぐらのような大きな棒が見える。2人はやぐらを仰ぎ見ながら、手元のタブレットに向かって何かを報告しておる。
「む?奴ら、板に向かってブツブツ言っておるぞ。呪詛か。余を呪い殺す気か」
「いえ、ZOOM会議です。ドローンの映像を見ながら、本社と連絡を取り合っているのでしょう」
「おお。ZOOMは外でも使えるのか。つまり、遠見の術で本陣と軍議を開いておるのだな。今度、余も戦でZOOMを使ってみよう」
余はしばらく黙ってやぐらを眺めた。赤い上着の職員がドローンを動かすたびに、ブーンという音が山の中に響く。本社とのZOOMは続いている。楽天の人間というのは熱心なのだな、と余は思った。
「携帯会社も我々と同じ戦国模様です。彼らは新しい商人なので、他社から遅れを巻き返そうと、グーグルアース、ZOOM、ドローン、RPAやAIなどを使って自動化、業務改善をしてます。さらにオープンRAN、クラウドネイティブなエッジコンピューティングなどを駆使して設備投資を最小限に抑えております」
光秀の話は全く理解できなかったが、あの2人組が一生懸命に仕事をしていることは余にも理解できた。
「・・・光秀」
「はい」
「あのやぐらは、安土城からどのくらいの距離だ」
「そうですね。おそらく」
光秀が山腹を見渡し、城の方角を確認した。
「目と鼻の先でございますな」
「ということは、電波が来るのでは?」
「ビンビンに来ると思われます」
「よし、申しこむ!」
「今、ここで?」
「是非に及ばず!蘭丸、余のスマホを出せ!楽天に降伏、いや、契約の使者を送るのだ!」
「ははっ!」
蘭丸からスマホを受け取り、余は馬上で意気揚々とブラウザを開いた。
「えーと、プラチナバンドが。むっ、揺れる!馬が揺れてフリック入力ができぬ!らくてんと打ちたいのに、らりるれろてぬになる!」
「だから帰ってからにしましょうと言っているのです」
「待て!今、ろてぬを消して・・・ああっ!らりるれろてぬぁぁぁ!黒雲号!止まれ!貴様も天下人のネット環境構築に協力せよ!」
「黒雲号がイライラしてます。ドローンのブーンという音を、デカいアブかハチだと思っているんですよ。暴れる前に帰りましょう」
馬首を返しながら、余はもう一度だけ振り返った。赤い上着の2人は、まだやぐらを見上げておる。ドローンが旋回している。本社とのZOOMは続いている。余が天下人だとも知らず、黙々と電波を守っておる。パカランパカラン。安土城へ戻る道すがら、余の気持ちはすでに決まっておった。

光秀です。たしかにいきなり携帯基地局アンテナやドローンを見たら驚くのも無理はありませんね。楽天モバイルは実際にドローンを使ってアンテナを点検しています。

[もっと良くなる つながる 楽天モバイル]基地局点検におけるドローンの活躍

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