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「不可能」を可能に:探究心こそが次世代ネットワークを創る鍵
楽天シンフォニーを牽引するオートメーション責任者、クリントン・カヴァイの情熱
「なぜ動くのか?」
その疑問から始まった一人の技術者の旅は、モバイルネットワークの常識を塗り替える楽天シンフォニーへと繋がりました。
今回、「#WeAreSymphony」企画で紹介されたのは、楽天シンフォニー ドイツのクラウド・オートメーション・リード(Cloud Automation Lead)、クリントン・チョゴ・カヴァイ氏。ケニアでラジオを分解していた少年が、いかにして世界初のフルクラウド型ネットワークという「不可能」な挑戦に挑み続けているのか。彼のユニークな経歴と仕事への情熱を探ります。
好奇心に導かれた道のり:ケニアから東京、そしてドイツへ
カヴァイ氏のキャリアの原点は、故郷ケニアでの経験です。
「コードを書く前、私はラジオを分解していました。壊れていたからではなく、なぜ動くのか知りたかったからです。その好奇心が私を導いてきました」
その探求心は、大学時代に楽天モバイルの「完全にクラウドベースのモバイルネットワーク」という構想に触れた際、再び燃え上がりました。
「ありえないと感じました。だからこそ、挑戦する価値があると思ったのです」
彼は、楽天モバイルのネットワーク立ち上げに参加。新卒チームと共にネットワーク自動化基盤であるRMOPsを構築しました。バックアップやヘルスチェックなど、複雑なプロセスを自動で処理する仕組みです。
人が操作することなく、安定したログとともにシステム保守が終わった瞬間、彼はラジオを直した時と同じ「命を吹き込んだ」興奮を感じたと言います。そして2021年、楽天シンフォニーがドイツの新しいモバイルネットワークを、すべてクラウドベースで構築するという、再び「不可能に聞こえる」巨大プロジェクトを開始。
「不可能に聞こえた。それが私に必要な言葉でした」
彼はドイツへ渡り、静かに、しかし長く機能し続ける自動化ツールを作り、他のメンバーがインフラの構築に集中できる土台を築き上げました。

忘れられない夜:ネットワークが「生きている」と感じた瞬間
カヴァイ氏が楽天シンフォニーでの一番の思い出として挙げるのは、ドイツ・デュッセルドルフのオフィスでのある夜の出来事です。
「夜が更け、モニターの光だけが部屋を照らしていました。数ヶ月の遅れを経て、ついに最終設定が展開された瞬間。誰もが固唾を飲んで見守る中、ログが動き出しました。データが流れ、実際にユーザーが通信していることが確認されました。誰かが「すごいな…」とささやき、別の誰かが「なあ、こいつは生きている」とつぶやいた。それは大歓声ではなく、静かな笑顔と、勝ち取ったという手応えに満ちた瞬間でした。私は冬の夜の冷たい空気の中へ出て、静寂をかみしめました。この静けさは、努力して手に入れたものだと感じました」
成功を生む仕事の哲学
技術的な成功は、明確な仕事のやり方で支えられています。カヴァイ氏が大切にする仕事のルールは、すべてのエンジニアに役立つ教えです。
探求心を持つ: 常に「なぜ」を問い続けること。
責任を持つ: 担当した部分をやり遂げること。
自動化: 繰り返す作業はすべて自動化する。
再発防止: 壊れたら、二度と同じ原因で壊れないように直す。
記録を残す:「誰かの深夜の仕事にかかっていると思って書く」。 良い記録は他者への親切である。
着実に進める: 完璧でなくても、小さなものを今日完成させることで、明日の大きな挑戦への道を作る。
趣味と探求:スキーと「自宅ラボ」という実験場
仕事以外でも、彼の探求心は変わりません。彼は30カ国以上を旅し、スキーに熱中しています。スキーで斜面を読み、冷静さを保つことが、仕事の問題解決と似ていると言います。そして、彼の情熱が注がれるのは自宅ラボです。
「家では、自宅ラボに入り浸ります。Linuxの仕組み、暗号技術、AIの仕組み、ネットワークの深い部分を探求する場所です」
彼はそこで試行錯誤を繰り返し、オープンソース活動にも参加。小さな貢献でも大きな影響を与えることを実感しています。
次世代への継承:未来のネットワークと人を育てること
カヴァイ氏の次の目標は、自動化と、システムが自分で判断し修復する力をさらに深めることです。ネットワークがリアルタイムで変化に対応できる未来を実現したいと考えています。
同時に、彼は先輩たちから受け継いだ恩を次世代に返したいと思っています。
「私は、答えを知る前に私を信頼してくれた先輩に恵まれました。私は、次の世代のエンジニアにとって、そういう存在でありたいのです」
彼は、国境を越えて機能するシステムと、共に成長するチームを作り続けたいと願っています。最後に、彼は楽天シンフォニーの新メンバーに、最も大切なアドバイスを贈ります。
「好奇心を失うな」
「なぜを問い続け、納得できるまで追求してください。学ぶためにシステムを壊すことを恐れないでください。ただし、直す責任は常に負ってください。そして、あなたの好奇心を守り抜いてください。それが、あなたがこの仕事にもたらす一番の価値です」
クリントン・カヴァイ氏の物語は、単なる技術の話ではなく、「なぜ」というシンプルな好奇心と、「不可能」を覆すための粘り強い挑戦がいかに重要かを教えてくれます。彼の言うように、「最高のネットワークは、機器だけでなく、人、アイデア、そして未来への意欲を繋ぐ」のです。楽天シンフォニーは、彼の好奇心が創り出した技術を土台に、次世代の通信インフラを作り続けています。
We Are Symphony: A conversation with Clinton Kavai
https://symphony.rakuten.com/blog/we-are-symphony-a-conversation-with-clinton-kavai
