映画評「ニューイヤーズ・イブ」(2011年/アメリカ)

2011年/アメリカ/118分 監督・製作:ゲイリー・マーシャル 脚本:キャサリン・ファゲイト 製作:マイク・カーツ/ウェイン・ライス  出演:サラ・ジェシカ・パーカー/ザック・エフロン/キャサリン・ハイグル/ジョシュ・デュアメル/ジョン・ボン・ジョヴィ/ミシェル・ファイファー/ロバート・デ・ニーロ/アビゲイル・ブレスリン

たとえばこの映画を夏に見るとどうだろうか。魅力は少し減りそうだ。これは完全にアメリカのお正月映画。ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグも登場。2010年12月31日のカウントダウンイベントでロケを行い、イベントそのものを映画にしている。新年を迎えた気分になれるところがこの映画の大きな魅力。私にとってあまり馴染みのないニューヨークの楽しげな雰囲気を味わえてよかった。ゲイリー・マーシャル監督は「プリティ・ウーマン」で有名だが、私は彼が監督した他の映画を見たことがない。毒もなければ個性もないが、身近な視点を感じる。親しみやすい作風だ。1934年生まれにしては若々しい出来映えだ。キャスティングがいい。華やかだ。スターの輝きに満ちている。メッセンジャーボーイ役のザック・エフロンの軽快な演技が印象的。明るい未来を感じさせる俳優だ。ミシェル・ファイファーの演技を生まれて初めて応援した。「がんばれ!君は美しい!」と、映画を見ながら心の中で叫んだ。タイムズスクウェア協会の副会長役のヒラリー・スワンクのスピーチに感動した。ロバート・デ・ニーロが老人役で出ていて、時の流れを感じて少しショックだった。ロバート・デ・ニーロが演じた全ての人物が死にゆくような圧倒的な寂しさだった。映画スターの落日。人物の葛藤を細かく描写せずに、すばやいテンポでたくさんの人物を描いていく。なかなか小気味いい動きだ。とてもスムーズに感じる。シナリオ的には「時間の枷」の見本市。1年の目標を1日でやり遂げる、寝たきりの状況でなんとか屋上に行く、期限内にボールを修理する、時間内に好きな人に会いにいく、など、時間の枷をよく練られたアイデアで提示している。その人なりの成長物語でもある。そしてハッピーエンドかつ、ハッピーニューイヤーである。ただのパーティームービーではなく、様々な価値観を持つ人々を登場させた所に優しい視点を感じた。