9月30日

オカズがちょっとずつ小鉢に入っている御膳。人生で一番美味しい朝食だったかもしれない。

厳島神社を先に進み、宮島水族館へ。小さな水族館だが、静かでのんびり過ごせた。

ゴマフアザラシの背中を触る。冷たくて硬くて濡れた毛皮。なるほど。ペンギンの背中を触る。柔らかくて暖かみがあった。テッポウウオの食事の説明を聞く。テッポウウオは口から水を発射して水面上にいる小動物を撃ち落とし、捕食する。実際に水鉄砲を発射して食べ物を落としたテッポウウオがその餌にありつけるわけではなく、周辺にいる別のテッポウウオが、落ちた餌を横取りする。どこの世界も似たようなものだ。

帰りに厳島神社に寄ったが大混雑。並んでいるので、入るのをやめる。お昼過ぎにホテルに戻り休憩。

屋上テラスで写真撮影。F値を多めにしてシャッタースピードを長くして撮影。なかなか上手に撮れないが、写真撮影は面白い。私の持つオリンパスのPENは単焦点でズーム使えず、スマホの方が色々楽しいのは事実だが、PENはPENで、味のある写真が撮れる。

青空に鳥が飛ぶ。水面を揺らす微風、無数の光の粒。かつて大切に握りしめていたはずの希望のかけらか、身体の奥底に溜まった疲弊か、やり場のない理不尽さか。重なる深い山が静かにその影を落とす。朱色の鳥居が海に満たされて、孤高にたたずむ。どこか遠い世界との境目。ここにあるのは虚脱感。その先には、幾重にも重なる波のうねりと、果てしない海の青さ。自分は何を眺めているのだろうか。沈黙の中へ。心は鳥居のそばへ。

旅館にあったブックカフェは、内装は楽しいが、本が退屈でカビ臭いので退散。宮島を写した写真集がもっとあればいいのに。

夕方に外出し、千畳閣(正式名称:豊国神社)に行く。豊臣秀吉の命により1587年に建立が始まった、畳857枚分の広さを持つ宮島最大の木造建築。実際に行ってみても、とても広い。景色が良い。騒がしいが、ここは静かだった。五重塔は工事中だった。

千畳閣を出ると二匹の子鹿に遭遇。しきりに鳴き続けていた。後で調べるとストレス起因の鳴きだったようだ。我々は子鹿に触ってもないし、近づいてもなかったけど、ストレスを与えていたようだ。なんだか、ごめん。

厳島神社へ。夕方は閑散としていた。のんびり見て回れた。

神社を出て、店がどんどん閉まる中、カフェ「MAGOJii cafe & gallery」で鹿を眺めながらビールを飲む。オシャレで綺麗なカフェで良かったが、トイレの前に壁があって潜り抜けないと入れない造りになっていて、妻が頭をぶつけていた。

干潮で鳥居まで歩く。スマホで写真を撮っていたら、たまたまセルフィになり、自分の顔のアップを撮影。写っていたのは、険しい表情の老人。驚くほど老いている。元から老いて擦り切れていたのだろう。今回のことでさらに追い討ちをかけたのだろう。10年前なら1日2万歩は歩けたが、今は1万歩で疲労困憊だ。老いに向き合う。そろそろお終いだ。黄昏時の干潮時、干潮したので近づける鳥居の前まで歩き、自分を見つめる。

ホテルで黄昏の風景を眺めながら疲弊を静かに受け入れる。夕食はまたもや豪華だった。流れ星が見えるかもしれない、動物も鹿以外にタヌキもいる、と、給仕してくれた方がおっしゃっていた。

夜、外をぶらぶらと歩く。星はあまり見えない。動物も鹿以外にいない。ライトアップされた厳島神社。鳥居の近くに外国人たちがたむろっていた。疲れたので早々に帰る。

今年7月にリニューアルされた大浴場「古今の湯・波穏の湯」に入る。他に客は一人しかおらず、少しぬるいお湯に、のんびり浸かる。

この日は14738歩も歩いた。