
経済圏から文化圏へ。楽天エンタメランキングに見る広がりと可能性
楽天グループは2026年6月17日、「楽天ブックス」「Rakuten Music」「楽天Kobo電子書籍ストア」の利用データを横断的に分析した「2026年上半期 エンタメランキングTOP5」を発表しました。あわせて、「楽天ブックス」「楽天マガジン」「Rakuten Music」「Rakuten TV」のサービス別ランキングと、2026年下半期のトレンド予測も公開しています。今回の発表は、単に売れた本や再生された音楽を並べるだけではなく、漫画、ゲーム、音楽、雑誌、映像といった異なる分野のデータから、2026年上半期にどのような作品や楽しみ方が支持されたのかを俯瞰できる内容になっています。
2026年上半期の人気を映す横断ランキング
楽天の3サービスを横断した「2026年上半期 エンタメランキングTOP5」では、1位に『ONE PIECE』、2位に『キングダム』、3位に「Nintendo Switch 2」関連商品、4位に『葬送のフリーレン』、5位にガールズグループのHANAが入りました。漫画やアニメ、ゲーム、音楽が互いに影響し合いながら人気を広げていることが伝わる顔ぶれです。1位の『ONE PIECE』は、「楽天ブックス」で「ONE PIECE magazine 特集 ヒロインズ 021 カード付き同梱版」が1位となり、「楽天Kobo電子書籍ストア」でも『ONE PIECE モノクロ版』が2位に入りました。2026年4月に始まったテレビアニメ「エルバフ編」に加え、アイナ・ジ・エンドによる主題歌も作品の盛り上がりを後押ししています。2位の『キングダム』は、「楽天Kobo電子書籍ストア」で1位を獲得しました。2026年7月17日公開の映画『キングダム 魂の決戦』への期待も、原作や関連書籍への関心を高めているようです。映画主題歌を担当する米津玄師は、「Rakuten Music」でも「IRIS OUT」が首位となっています。3位の「Nintendo Switch 2」関連では、『ぽこ あ ポケモン』が「楽天ブックス」の4位、本体の日本語・国内専用モデルが5位、『トモダチコレクション わくわく生活』が6位に入りました。新しいゲーム体験だけでなく、過去に親しまれたシリーズの復活も幅広い世代の関心を集めています。4位の『葬送のフリーレン』は電子書籍ランキングで5位となり、Mrs. GREEN APPLEによるアニメ主題歌「lulu.」も「Rakuten Music」で10位に入りました。5位のHANAは、「Blue Jeans」が音楽ランキング3位、「ROSE」が4位となり、上半期を代表する存在感を示しています。
サービス別ランキングから見える多様な楽しみ方
「楽天ブックス」では、『ONE PIECE』や「Nintendo Switch 2」関連商品に加え、Snow Man、Travis Japan、なにわ男子など、STARTO ENTERTAINMENT所属アーティストの関連作品が多数ランクインしました。初めて発表されたおもちゃ部門では、「おしゃべりぬいぐるみ(スンスン)」が1位を獲得しています。楽天ブックス限定特典付きの商品も上位に入り、商品そのものだけでなく、特典を含めた購入体験が支持されていることも印象的です。「楽天マガジン」の総合ランキングでは、1位が『VERY』、2位が『Oggi』、3位が『週刊SPA!』となりました。女性ファッション誌だけでなく、週刊誌やライフスタイル誌も広く読まれています。ジャンル別では、女性ファッションの1位が『VERY』、男性ファッションは『GO OUT』、ビューティーは『LDK the Beauty』、ビジネス・経済は『PRESIDENT』、料理・食は『オレンジページ』でした。雑誌の読み放題サービスらしく、ファッションから経済、旅行、家電、料理まで、関心の幅広さがそのままランキングに表れています。「Rakuten Music」では、米津玄師の「IRIS OUT」が1位、Mrs. GREEN APPLEの「ライラック」が2位、HANAの「Blue Jeans」と「ROSE」が3位、4位に続き、M!LKの「好きすぎて滅!」が5位となりました。6位以下には、アイナ・ジ・エンドの「革命道中 – On The Way」、BE:FIRSTの「夢中」、Snow Manの「カリスマックス」、Vaundyの「怪獣の花唄」、Mrs. GREEN APPLEの「lulu.」が並んでいます。新しいヒット曲と、長く聴かれ続けている定番曲が共存するランキングです。そして「Rakuten TV」では、タイBLドラマ『Duang With You』が1位となりました。2位は『Only Friends : Dream On』、3位は『Yesterday~あの日刻んだ愛の痕~』、4位は『Me and Thee/ミー・アンド・ティー』、5位は韓国の恋愛リアリティー番組『ボクらの恋愛シェアハウス4』です。トップ10のうち7作品をタイBLドラマが占めており、ほかのサービスとは異なる、Rakuten TVならではの支持傾向が鮮明に表れました。
タイBLに見る楽天の「見つける力」
横断ランキングには、『ONE PIECE』『キングダム』『葬送のフリーレン』など、すでに幅広い知名度を持つ作品が並びました。ランキングとしての納得感は十分にあります。その一方で、楽天ならではの個性が最も明確に表れていたのは、Rakuten TVにおけるタイBLドラマの強さではないでしょうか。タイBLは楽天が生み出したコンテンツではありません。タイの制作会社や俳優、現地のファン文化、日本語字幕による配信環境、SNSでの情報共有、日本の視聴者による推し活など、さまざまな要素が重なって市場を形成してきました。その中で、Rakuten TVが作品を継続的に集め、国内の視聴者に届け、ランキングを通じて支持の大きさを可視化してきたことには意味があります。「タイBLを楽しめるサービスの一つ」として、独自の立ち位置を築いてきた成果が今回のランキングに表れたと考えられます。Rakuten TVでは購入コンテンツの販売が終了しましたが、レンタル、定額見放題、ライブ配信は継続されています。また、「BL」「ブロマンス」「LGBTQ+」関連作品については、新たな視聴方法を2026年内に提供する予定も示されています。サービスの形は変わっても、これらのジャンルと継続的に向き合おうとする姿勢がうかがえます。

「見つけた後」の広がりに期待したい
楽天は、消費の変化や新しい人気の兆しを把握する力に長けています。今回の発表でも、「楽天ブックス」におけるシール関連商品の販売数が前年同期比で約85倍、フロッキーマスコット関連商品が4月と5月の前年同期比で約3倍に伸びたことが紹介されました。「楽天マガジン」では、節約関連のムックや雑誌の新刊タイトル数が前期比で約2倍に増加しています。「Rakuten Music」が下半期の注目アーティストに挙げた4人組グループ・モナキは、デビュー曲の再生ユーザー数がデビュー週から翌週にかけて約3.5倍に伸びました。こうしたデータからは、何が売れているのかだけでなく、どのような楽しみ方や価値観が広がり始めているのかも見えてきます。シールやフロッキーマスコットの人気には、平成カルチャーへの懐かしさに加え、持ち歩いて撮影する推し活や、集めること自体を楽しむ文化があります。節約雑誌の増加からは、単なる我慢ではなく、生活の質を維持しながら家計を整えたいという意識が感じられます。次に期待したいのは、楽天が見つけたこうした熱量を、グループの複数サービスを通じて、さらに楽しい体験へ広げていくことです。たとえば、Rakuten TVでタイBLドラマを観たユーザーが、楽天ブックスで出演俳優の写真集や関連雑誌を見つけ、楽天市場でグッズを探し、Rakuten Musicで主題歌を聴き、楽天トラベルでファンミーティングやイベントに参加するための宿泊先を予約する。すでに個別のサービスでは、作品配信、グッズ販売、書籍、音楽、ライブ配信などが提供されています。それらを作品や俳優、ジャンルを軸に、より自然につなげられれば、楽天ならではのエンターテインメント体験が生まれる可能性があります。
経済圏は便利さで広がり、文化圏は意味で深まる
楽天は、楽天市場、楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天モバイルなど、多様なサービスを楽天ポイントによって結びつけてきました。買う、支払う、貯める、運用する、通信するといった生活上の行動を一つの仕組みの中で循環させることは、楽天の大きな強みです。一方、エンターテインメントの世界で人を引きつけるのは、利便性やポイントだけではありません。好きな作品を語れること、推している俳優やアーティストの新しい魅力を発見できること、同じ熱量を持つ人たちと体験を共有できることも重要です。経済圏は、便利さやお得さによって広がります。文化圏は、作品や人に対する思い、参加する楽しさ、そこでしか得られない体験によって深まります。『ONE PIECE』や『キングダム』のような大きな作品は、それ自体が強い入口となり、漫画、アニメ、映画、音楽、グッズへと消費を広げていきます。一方、タイBLのようにファンの関心が俳優、過去作品、イベント、SNS上の交流、写真集、主題歌などへ深く伸びていくジャンルでは、サービス側による丁寧な情報整理や提案が、より大きな価値を持ちます。作品ページから出演俳優の過去作や関連イベントへ進めるようにする。楽天ブックスの写真集や雑誌、楽天市場のグッズ、Rakuten Musicの主題歌を一つの特集にまとめる。楽天ポイントを、限定映像や先行抽選、イベント連動企画への参加にも活用する。こうした工夫が増えれば、「楽天を使うとお得」という価値に、「楽天だから深く楽しめる」という価値が加わります。
楽天らしい文化は、サービスのつながりから生まれる
今回のランキングから読み取れるのは、楽天に独自性がないということではありません。むしろ、文化的な体験を生み出すための材料が、すでに豊富に揃っていることです。動画、音楽、電子書籍、紙の書籍、EC、旅行、決済、ポイント、モバイル通信。これほど多くの接点を一つのグループ内に持っていることは、大きな可能性です。総合プラットフォームは、多くの商品や作品を公平に扱える反面、そのサービスならではの色が見えにくくなることもあります。しかし、Rakuten TVにおけるタイBLのように、特定のジャンルを継続的に扱い、ファンの支持を集めることで、少しずつ独自の色が生まれていきます。大切なのは、あらゆる分野で無理に「楽天発」の作品を作ることではないでしょう。すでに存在する良質な作品や、まだ広く知られていないジャンルを見つけ、それを必要としている人へ届け、複数のサービスを通じて楽しみ方を広げていく。それもまた、プラットフォームが文化を育てる一つの方法です。
経済圏の先にある楽天の次の可能性
2026年上半期の楽天エンタメランキングは、人気作品を確認するための一覧であると同時に、現在の生活者が何に時間やお金、感情を向けているのかを映すデータでもあります。『ONE PIECE』『キングダム』『葬送のフリーレン』のような大型作品、「Nintendo Switch 2」を中心とするゲーム需要、米津玄師やMrs. GREEN APPLE、HANAへの音楽的支持。さらに、シール、フロッキーマスコット、生活の質を意識した節約、ネクストブレイクアーティスト、タイBLドラマなど、大小さまざまな熱量が捉えられています。楽天の強みは、こうした動きを複数のサービスから観測できることです。その強みを生かし、発見した人気や小さな兆しを、作品、商品、音楽、イベント、旅行まで含む立体的な体験へ発展させられれば、楽天経済圏は文化圏としても、より豊かな魅力を持つようになるでしょう。経済圏は、便利さで人を集めます。文化圏は、意味や共感によって人を引きつけます。その二つが自然につながったとき、楽天は人気コンテンツを届ける大きな流通基盤であるだけでなく、ユーザーが新しい「好き」と出会い、その熱量を深めていける場所にもなれるはずです。今回のランキングは、その可能性をあらためて感じさせる発表でした。
楽天、エンタメ関連サービスのデータから読み解く「2026年上半期 エンタメランキングTOP5」を発表
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0617_01.html
