楽天が警察庁と情報連携協定。ECの信頼を守る不正取引対策とは

インターネットショッピングやフリマアプリは、私たちの生活に欠かせないサービスになりました。自宅にいながら欲しい商品を購入できたり、不用品を手軽に売買できたりする利便性は非常に高く、多くの人が日常的に利用しています。一方で、IDやパスワードの不正利用、盗難クレジットカードによる決済、不正アカウントを利用した詐欺など、ECサービスを狙った犯罪も年々巧妙化しています。このような状況の中、楽天グループは警察庁と情報連携に関する協定を締結し、より安心・安全な取引環境の実現に向けた新たな取り組みを開始しました。単なるセキュリティ強化ではなく、民間企業と警察が連携し、不正取引に関する情報を迅速に共有し、捜査への協力や被害の未然防止につなげる体制を構築するという点で、大きな意味を持つ発表といえるでしょう。

警察庁との情報連携協定がスタート
楽天は、警察庁との情報連携に関する協定を締結し、運用を開始したことを発表しました。この協定は、政府の「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に掲げられた、ECサイトにおけるID・パスワードやクレジットカード情報の不正利用対策に関連するものです。今回の協定では、楽天市場と楽天ラクマにおいて、不正な取引が行われている可能性が高いと楽天が判断した情報を、これまで以上に迅速に警察庁へ共有できる体制を構築します。これにより、捜査への協力だけでなく、犯罪による被害の拡大を未然に防ぐことも期待されています。不正が起きた後に対応するだけではなく、不正取引の可能性が高いと判断した情報を迅速に共有し、被害拡大の防止につなげる仕組みへ進化したといえます。

楽天市場と楽天ラクマの安全対策をさらに強化
楽天では以前から、不正利用防止のための取り組みを継続してきました。楽天市場や楽天ラクマでは24時間365日のモニタリング体制を整え、不審なログインや不正注文の検知を実施しています。また、利用者への注意喚起やセキュリティに関する情報提供も日常的に行われています。例えば楽天市場では、不正注文が疑われる場合にショップへの連絡や配送停止の依頼を行うほか、不審なログインが確認された際にはパスワードの初期化や一時的なログイン停止など、被害拡大を防ぐための対策を実施しています。さらに、購入者のメールアドレスは暗号化され、クレジットカード情報は国際的なセキュリティ基準であるPCI DSSに準拠して管理されるなど、利用者の個人情報を守る仕組みも整備されています。加えて、楽天を装ったフィッシングサイトを監視し、発見時には通報やアクセス制限、関係機関への情報提供を行うなど、偽サイトによる被害防止にも取り組んでいます。一方、楽天ラクマでは、24時間365日のパトロールや不正行為の監視に加え、偽造品の検知や出品ブロック、権利者保護プログラムなどを導入しています。また、匿名配送やラクマあんしん補償、楽天ラクマを仲介した決済、本人確認済み出品者の表示、鑑定サービス、取引評価システムなど、個人間取引ならではのリスクを軽減するための仕組みも充実しており、安心して売買できる環境づくりを進めています。今回の警察庁との協定は、こうした既存のセキュリティ対策をさらに強化するものです。システムによる検知や日常的なモニタリングだけでは判断が難しい部分についても、公的機関との情報共有を組み合わせることで、より実効性の高い不正対策へと発展していくことになります。

楽天グループ全体で進む官民連携
楽天グループは、今回の協定以前から警察との連携を進めてきました。警視庁とは2016年末に「インターネットを利用した不正事案の抑止に係る協定書」を締結し、2017年1月から、犯罪との関連が疑われる取引について定期的な情報提供を開始しています。さらに同年8月には「サイバー犯罪に対する共同対処協定書」を締結し、サイバー犯罪を認知した際の通報、捜査協力、被害拡大防止措置、情報共有などについて連携体制を整えました。また、インターネットショッピングにおける不正なクレジットカード利用など、犯罪との関連が疑われる取引について定期的な情報提供も行われており、官民が連携して被害防止に取り組む体制が築かれていました。さらに楽天銀行は2026年5月、警察庁と特殊詐欺の被害金追跡などを目的とする「官民協働型枠組みに関する合意書」を締結し、6月1日に運用を開始しました。警察からの照会に迅速に回答することで、被害金の追跡や犯罪グループの口座凍結、被害金の回復につなげる取り組みです。今回のEC分野での協定も含めると、楽天グループはショッピング、フリマ、銀行という異なるサービス分野で警察との連携を広げており、グループ全体として安全性を高める方向へ進んでいることが分かります。

楽天市場「安心・安全への取り組み(情報セキュリティの取り組み)」
https://event.rakuten.co.jp/anshin/security/

楽天ラクマ「安心・安全への取り組み」
https://fril.jp/ts/safety/

楽天、警視庁とサイバー犯罪対策・捜査における連携を強化
https://corp.rakuten.co.jp/news/update/2017/0804_01.html

楽天、安心・安全な取引に向け、警察庁と情報連携に関する協定を締結
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0709_02.html

私見と考察:本当に価値があるのは安心を提供すること

ここからは私見になります。ECサイトは商品数や価格競争だけでは差別化が難しい時代になっています。多くの商品は複数のサイトで販売され、商品や価格、配送の利便性だけでは、サービス間の違いを打ち出しにくくなりつつあります。そうした中で「安心して利用できるか」という信頼は、サービスを選ぶ上で重要な判断材料の一つになります。どれだけ便利なサービスでも、不正利用への不安があれば利用を控える人は少なくありません。特に高齢者やネットショッピング初心者にとって、「安全性」は価格以上に重要な判断材料になることもあります。今回のように警察庁との情報連携を制度として整備することは、利用者に対して「不正取引を早期に把握し、公的機関と連携して対処する体制があります」という安心感につながります。セキュリティ対策は普段は目立ちませんが、利用者の信頼を支える重要なインフラといえるでしょう。

官民連携は今後さらに広がる可能性も
今回興味深いのは、官民連携が楽天グループ全体で広がっていることです。楽天銀行では特殊詐欺対策、楽天市場と楽天ラクマでは不正取引対策、さらに過去から続くサイバー犯罪対策など、各サービスがそれぞれの分野で警察と協力しています。楽天グループは、EC、金融、通信、決済、証券など多様なサービスを展開しています。そのため、一つの分野で培われた不正検知やリスク管理のノウハウを、グループ全体へ展開できる可能性があります。もちろん、個人情報の取り扱いには厳格なルールが求められますが、適切な法令やルールの下で情報共有や不正対策が進めば、利用者全体の安全性向上につながるでしょう。

便利だけでなく信頼が競争力になる時代
デジタル化の進展に伴って詐欺や不正利用の手口も変化する中、不正アクセスやフィッシングなどのサイバー犯罪は今後も増加する可能性があります。そのような時代だからこそ、サービス事業者には便利さだけではなく、安全性への継続的な投資が求められます。楽天はこれまで、24時間365日の監視体制や不正検知システムを整備してきましたが、今回の警察庁との協定によって、公的機関との連携という新たな柱が加わりました。ECサービスの競争は価格やポイント還元だけではありません。安心して買い物ができること、その信頼を維持できることが、これからの大きな競争力になるはずです。利用者にとっては普段意識することの少ない取り組みかもしれません。しかし、このような地道なセキュリティ強化こそが、日々安心してネットショッピングを楽しめる環境を支えているのではないでしょうか。


楽天、安心・安全な取引に向け、警察庁と情報連携に関する協定を締結
– 「楽天市場」「楽天ラクマ」において、より安心・安全な環境づくりを実現 –

https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0709_02.html

楽天、安心・安全な取引に向け、警察庁と情報連携に関する協定を締結 | 楽天グループ株式会社楽天グループ株式会社(以下「楽天」)は、ユーザーがより安心・安全に取引できる環境づくりに向け、警察庁と情報連携に関する協定を締結し、本日運用を開始しました。corp.rakuten.co.jp