
楽天シンフォニーのRakuten NEOで広がるIoT無人・省人空間管理の可能性
日本における人手不足は、大企業だけの問題ではありません。地方の中小事業者にとっては、スタッフを確保できないまま店舗を維持しなければならないという、事業継続に直結する切実な課題となっています。フィットネスジム、コインランドリー、小規模オフィスといった施設では、人の手を介さずに運営を回せるかどうかが、経営の分かれ目になりつつあります。こうした流れを受け、楽天シンフォニー株式会社は2026年6月、岡山県を拠点とするIoT・AIソリューション企業の株式会社B’s STYLE(岡山市北区、代表取締役社長:宮内浩)と国内販売パートナー契約を締結しました。これにより、B’s STYLEはIoT無人空間管理ソリューション「Rakuten NEO」の取り扱いを開始しています。
Rakuten NEOとはどのようなソリューションか
そもそも「IoT無人空間管理ソリューション」と言われても、多くの人にとっては少し難しく聞こえるかもしれません。しかし私たちは、すでに日常生活の中でその恩恵を何度も受け取っています。たとえば、スタッフが誰もいない夜間の24時間フィットネスジムにスマートフォンをかざして入館したり、スマホアプリからコインランドリーの空き状況を事前に確認して出かけたり、無人のコワーキングスペースをWeb予約して利用したりする一連の体験です。これらは全て、このソリューションが裏側で機能しているからこそ成り立っています。これまで施設の無人運営を実現するためには、鍵の管理システム、防犯カメラ、照明や空調の制御、会員管理など、それぞれのシステムを別々に導入して組み合わせる必要があり、コストも手間も膨大でした。IoT無人空間管理ソリューションは、これら「空間の運営に必要なすべての仕組み」をインターネット(IoT)を通じて一つにまとめ、遠隔からスマートフォンやPC一台でスマートに管理できるようにする包括的なシステムを指します。利用客にとっては「いつでも好きな時に非対面でスムーズに使える快適な空間」を提供し、オーナーにとっては「現地にいなくても安全に、かつ最小限のコストで店舗を回せる仕組み」をもたらす。これからの人手不足時代において、街の小さなお店や施設が生き残るために欠かせない、新しい店舗運営のインフラになりつつある技術です。
Rakuten NEOは、AI・IoT技術を活用して施設の運営状況をリアルタイムで可視化し、無人での運用を支援するプラットフォームです。ネットワーク経由で機器を一元管理し、アクセス制御、照明・空調管理、運用システムの遠隔操作、不正検知といった多彩な機能を備えています。フィットネスジムにおける24時間無人運営や利用状況の可視化、共有オフィスの入退室管理と遠隔監視のほか、無人店舗やトランクルームなど、人を介さずに空間を運営したい事業者向けに幅広く対応できます。単なるコスト削減ツールとしてではなく、事業の持続性を高めるインフラとして位置づけられているソリューションです。
B’s STYLEはどのような会社か
B’s STYLEは2018年3月の設立以来、「IoTプラス」というコンセプトのもと、既存設備はそのままに、キーアイテムを組み合わせて見える化を実現するIoTソリューションを展開してきました。同社がこれまで手がけてきたプロダクトの幅は広く、トレーニングジムの稼働状況を可視化する「トレミル」、コインランドリーの稼働状況を可視化する「ランドミル」、AIカメラを活用した監視業務の効率化ソリューション、顔認証・検温・出退勤管理の複合システムなど、現場に即した実装力と運用ノウハウが積み重なっています。岡山を中心とした中国・四国エリアの中小事業者に寄り添ったIoT導入支援を数多く手がけており、業種ごとの課題と運用実態への理解の深さが同社の強みです。
パートナー契約が意味すること
今回の連携における役割分担は明確です。B’s STYLEが導入前の相談対応、業種別の運用提案、導入後の支援を担い、楽天シンフォニーがRakuten NEOのプロダクト提供を担います。両社は昨年の出会いをきっかけに、無人化・省人化という共通認識のもとで課題感や市場ニーズについて意見交換を重ねてきた結果として、今回の契約締結に至ったようです。
B’s STYLEにとっても今回のパートナー契約は単なる製品ラインナップの拡張ではありません。同社がすでに展開する「トレミル」「ランドミル」といった自社IoTソリューションとRakuten NEOを組み合わせることで、より複合的なスマート運営の提案が可能になります。入退室管理から設備稼働の可視化、空調・照明の遠隔制御まで、ワンストップで対応できる体制が整うことは、導入を検討する事業者にとって大きな利点です。また、B’s STYLEは今後、Webサイトや展示会・セミナーを通じた情報発信を強化し、DXによる業務改善を目指す企業へのアプローチを広げていく方針も示しています。
地域への価値提供という視点
Rakuten NEOのようなソリューションが優れていても、それだけでは現場への普及は進みません。地域の事業者が直面している課題は業種ごとに異なり、導入のハードルを下げるためには、技術だけでなく「伴走できるパートナー」の存在が不可欠です。
B’s STYLEはその役割を担います。地域に根ざした事業者との信頼関係と、IoT・AI実装のノウハウを兼ね備えた同社がRakuten NEOを提供することで、これまでリソースや知識の面から無人化に踏み出せなかった中小事業者にとっての選択肢が広がります。両社は今後、広島・岡山を中心とした中国・四国エリアを主な対象として、人手不足の解消と施設運営の効率化、安全・安心な空間管理の実現に向けた取り組みを進めていく方針です。
楽天グループは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことをミッションに掲げていますが、今回の提携はそのミッションを地域レベルで具現化しようとする取り組みといえます。大都市圏の先進事例にとどまらず、地方の中小事業者まで無人化の恩恵を届けることができるか。Rakuten NEOとB’s STYLEの連携は、その試金石になるかもしれません。

私見と考察:ワクワクする町づくりへ
今回のB’s STYLEと楽天シンフォニーのパートナー契約を眺めていると、Rakuten NEOというプロダクトそのものの話よりも「誰が売るか」という流通の問題がいかに本質的かを改めて考えさせられます。
無人化・省人化ソリューションは、この数年で技術的な成熟が急速に進みました。入退室管理も遠隔監視も、単体の技術としてはすでに枯れた領域に入りつつあります。問題は技術の有無ではなく、それを現場に届けられるかどうかです。岡山のフィットネスジムのオーナーが、楽天シンフォニーのWebサイトを見て自力で導入を決断するというシナリオは、現実的ではありません。誰かが間に入り、業種の事情を理解した上で提案し、導入後も寄り添ってくれる存在がいなければ、どれほど優れたプロダクトも棚に並んだままです。
B’s STYLEが持つのは、まさにその「最後の一マイル」を埋める力です。「トレミル」「ランドミル」といった自社プロダクトの展開を通じて、地域の事業者がIoT導入に際して何に戸惑い、何を不安に思うかという肌感覚が蓄積されています。この種の現場知識は、大手企業がどれだけ投資しても短期間では模倣できないものです。
もう一点、興味深いのはB’s STYLEの製品群の広がりです。福祉・介護向けのリモート面会システム、ペットの健康管理、EV充電設備のIoT化、不法投棄監視。一見バラバラに見えるこの製品ラインナップは、「既存設備はそのままに、キーアイテムを組み合わせる」というIoTプラスの思想が一貫しています。大規模なシステム刷新ではなく、今あるものに載せる形で効果を出すというアプローチは、初期投資を抑えたい中小事業者のリアルな制約に正直に向き合っています。Rakuten NEOもこの文脈に乗ることで「高機能だが導入しやすい」という印象を持ってもらいやすくなります。
一方で、課題として考えておきたいこともあります。無人化・省人化が進む施設において、利用者体験の質をどう保つかという問題は、技術だけでは解決できません。何かトラブルが起きたとき、誰に連絡すればいいのか。機器が故障したとき、対応までにどれくらいかかるのか。無人・省人で動いているということは、問題が起きた時にどのように対処すべきか懸念点も出てきます。この点でB’s STYLEのような地域密着パートナーの存在がサポート体制の厚みに直結します。顔の見えるパートナーがいるということは、サービスレベルの担保という意味でも重要な要素です。
また、中国・四国エリアを主な展開対象としている点は、戦略として筋が通っています。人口が少なく、人件費の削減圧力が強く、かつDX支援のプレイヤーが大都市圏ほど多くないエリアは、無人化・省人化ソリューションの需要と供給のギャップが最も大きい市場の一つです。東京や大阪で勝負するよりも、岡山・広島で確固たる実績を積み上げ、それをモデルケースとして横展開するほうが、中長期的な競争優位を築きやすいとも考えられます。
Rakuten NEOは国際的な評価も得ているプロダクトですが、とりわけ地方の現場でそれがどれほど意味を持つかは別の話です。「うちのジムで実際に動いています」という隣の事業者の口コミのほうが、導入の意思決定に影響することは少なくありません。B’s STYLEを通じた地道な実績の積み上げは、そういう意味でも楽天シンフォニーにとって欠かせない戦略です。
無人化・省人化というテーマは、コスト削減の文脈で語られることが多いですが、本質的には「限られた人的リソースをどこに集中させるか」という経営判断の問題です。スタッフが受付に縛られなくなれば、会員との関係構築やプログラムの質向上に時間を使えます。コインランドリーの巡回が自動化されれば、同じ人員でより多くの店舗を運営できます。無人化・省人化は人を排除する技術ではなく、人がより価値ある仕事に専念するための技術です。この視点が普及していけば、無人化・省人化への心理的なハードルも下がっていくはずです。
データを活用した空調・照明の自動最適化による大幅なコスト削減はもちろん、24時間いつでも、どこからでも複数店舗を一括管理できるという圧倒的な機動力。そして何より、利用客にとっては「思い立った瞬間に、非対面でスマートに使える快適な空間」が街の中に増えていくという利便性。グローバル水準の高度な自動化技術と、地域の現場に伴走する実装力。この2つが噛み合うことで、無人・省人運営は「名ばかりの無人・省人」を超えて、地方の産業やコミュニティの持続性を高める確かなインフラになっていくはずです。テクノロジーによって街のお店が豊かになり、人々がより人間らしい仕事にワクワクできる未来の実現を、大いに期待したいと思います。
無人空間管理で中小事業者様の人手不足をサポート—B’s STYLE様と「Rakuten NEO」の取り組み
https://blog.rakuten-neo.com/partnership-bsstyle/
